あとがき―素直になれないふたり―
ごくごく普通の恋愛。それがこの作品「君の瞳に完敗。」のコンセプトでした。
普通の男の子と普通の女の子の恋愛なんて、その辺にいくらでも転がっています。その中の“敢えて”のふたり、瑛治と姫桜を主人公に
したのがこの作品です。
55話という作者自身最長の連載となり、連載期間も2年を超えてしまいました。
「君の瞳に完敗。」を書いている間に作者は受験生となり、受験を終え、大学生になりました。しかし作中では8ヶ月しか経っておりません。
ごくごく普通の恋愛、実は難産でした。どう描こうか悩んでいるうちにオフでも忙しくなり、なかなか更新できない日々も続きました。
そんな作品を、最後まで読んでくださって本当にありがとうございます。
そういえば、この作品のメインキャラである6人プラス日向くんのこれからの進路については、ちょこちょこっと考えていたりします。
まず、主人公の久保瑛治くん。彼はどこかの大学の工学部に入る予定です。姫桜ちゃんに負けじと勉強を頑張るので、そこそこいい大学に
入れるのかなーと思っていたりします。
香坂姫桜ちゃんは、国立大学の文学部に入ります。ちなみに専攻は近代日本文学。姫桜ちゃんは文学部しか考えられないです。書物と
にらめっこしてそう。
桐島雨響くんは、これまた国立大学の法学部。六法全書が似合いそうだという作者の勝手な思い込みによりますが……。
神崎風華ちゃん。彼女は雨響くんと同じ大学の教育学部に入ります。すごいですね、このカップル。どんな脳みそしてるんだ、という
ツッコミはなしの方向でお願いします。
高槻梓くん。彼はカリスマ美容師を目指して、大手の美容専門学校に入ります。それからどう化けるのかはまだ未定。彼の可能性、実は
無限大な気がします。
椎名まどかちゃんは、看護師を目指して私立大学の看護科に入ります。優しくて可愛い看護士さんになりそうだなあ、と思っています。
最後に、日向慎くん。彼は日本で最高水準の大学の医学部に入ります。失恋を経験して、高校3年間は勉強に打ち込むんです。大学に
入って可愛い彼女ができるといいなあ。
とまあ、こんな感じに作者は妄想しています。
連載は終わってしまいましたが、たぶん彼らはどこかに生きているんだろうなあ、という感じがします。どこにでもいるような彼らの、
どこにでもあるような恋愛なんですから。
こんなに普通のお話なのに、作者にとってはかけがえのない、思い出深い作品になりました。皆様にとってもそうであったらなあ、と
思います。
最後に。
こんなに長い間、「君の瞳に完敗。」をご愛読して下さって、本当にありがとうございました。
新連載も近いうちにスタートする予定です。まだ未定ではありますが、「君の瞳に完敗。」の番外編も書こうかなと考えています。
この作品の登場人物たちが、いつまでも幸せに暮らせることを願いつつ―――彼らに代わって、作者が皆様にもう一度お礼を。
2年余りの長い間、本当にありがとうございました。
09.04.25.桜沢菜奈 拝